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優秀人材に対する育成の観点

2013.9.15
 

2020年東京五輪の開催が決定しましたね!
生まれてからデフレと不景気しか知らない若い世代にとって、希望の五輪になることを願っています。40歳代半ばより若い世代では、社会に出た時は、すでにバブル経済が崩壊しており、経済が拡大していく世の中がどのようなものなのか、あまり実感がないかと思います。

かくいう私もそういう世代の一人ですが、会社の先輩世代のように賃金は上がらないのに、社会保険料や税金は上がり続けるという社会人生活を続けてきました。東京五輪による経済波及効果は3兆円という試算があるとのことですが、是非現実にそうなってほしいものです。

さて、組織・人事の世界でも「波及効果」に関連するテーマがあり、今回のブログのテーマとなります。どこの会社にも優秀な社員というのはいるものだと思いますが、それは多くの場合、「他の社員と比較して相対的に優秀」という前提での話ではないかと思います。では、絶対的に優秀な人材というのは、一体どのような人材でしょうか?

同じ企業や組織でも、経営方針の変更や市場環境の変化によって、優秀な社員の定義は変遷していくものだと思いますが、それは、人事評価で一番良い評価を得られる人材と同じ意味を持つ場合が少なくありません。しかし、環境が変われば、今まで優秀な成績を上げてきた社員も仕事の進め方を変える必要がありますし、それができなければ、継続的に優秀社員というカテゴリーに留まることはできなくなってしまいます。

これだけ環境変化の著しい時代ですから、優秀社員であり続けることは、とても難しいことだと思います。しかし、一定の割合で、常に自分が優秀社員であるだけでなく、組織全体を活気づけたり、その言動で周りの人間を刺激して、モチベーションの向上に寄与するような人材が時々います。

企業はこのような人材を大切にすると同時に、こういう人材をどれらけ継続的に自社の内部から輩出できるかが大きな課題と言えます。しかし現実には、放っておいても人は育つとか、成り行き任せの会社が多いというのが現実かと思います。それはそれで悪いとは思いませんが、何事も確率を上げていくことが大事で、サッカーでも野球でも、データを分析し、少しでも得点に結びつく確率の高い攻め方を実行し続け、結果として、紙一重の差で勝利を手にすることができたりするのと同じで、組織に良い波及効果をもたらし、将来会社を牽引する人材が育つ確率を高めることが、長期的な事業の存続には必要だと思います。

部下の面倒見がよくて営業成績も抜群、将来あの人のようになりたいというロールモデル的な人材に対する評価と、個人としての営業成績は抜群だが、周りの人間はあまりついてきていないという人材に対する評価が、同じような評価になっていることが結構あるように思います。

長い目でみれば、前者の人材は責任ある役職に早期に抜擢されるなど、それなりの処遇を受けていく確率が高いので良いですが、問題は、後者の優秀社員です。それなりに優秀で業績も上げているので大事にしたい人材といえますが、周りの評価もそれなりに良いと、かえってそれ以上の成長があまり望めなくなってしまうリスクを孕んでいます。

こういう人材に気づきを与えて、自己研鑽に励んでもらうために有効なのが、360度評価や行動評価です。360度評価は、普段の人事評価と違って、部下、同僚、上司を含む不特定多数の人が、自分をどのように見ているか、客観的に把握することに役立ちます。

また行動評価では、評価段階の定義として、例えば5段階評価の「4」が普通に優秀な場合のランクとして、評価「5」は、「自らの行動を通じて、他の社員が行動を見直すなどの波及効果を発揮している」と定義して、このレベルを目指すように指導を徹底したり、昇格審査の項目に加えることなども考えられます。

いずれも、個人的かつ定量的な実績に満足させることなく、さらに大きな視点、長期の視点から成長を促す仕組みと言えます。このようにして育った人材が会社の次世代の幹部として活躍していく会社は強いと思います。もちろん、新鮮な考え方を導入してマンネリを打破するなど外部人材の登用とのバランスなどは、当然考えていく必要はありますが、内部登用の人材が少ない会社は、短期的には現状維持ができても、長期的にビジネスを発展させ続ける可能性は、それほど高くないように思います。

これはあくまで直観的な話で、統計的な裏付けはないのですが、こんなことも考えながら普段コンサルティングをしています。自分の事務所の組織を大きくするか否か、まだわかりませんが、自分のところでまずは色々試してみようかと思います。

 




 



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