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社会保険料削減と売上向上

2013.9.21

社会保険料の削減対策は、売上アップの機会ロスにならないか?
 
社会保険料の削減に知恵を絞ることは、悪いことではありません。実際、専門家に相談しながら進めれば、それなりのコスト削減が実現できると思います。専任の人事・総務担当者がいる会社は、そのような工夫に時間を割いても悪くはないと思います。

しかし、気を付けなければいけないのは、合法的に社会保険料を削減する方法を実行に移す前に、人材マネジメント上の考え方と整合性を保てるか否かという点です。「そもそも人材マネジメント方針など、ありません!」という中小企業の社長さんも中にはいらっしゃるようですが、とても大事なポイントだと思います。
 
例えば、賞与の一部を月給に上乗せして標準報酬の上限額を超過させる(上限超過部分は、保険料がかからない)というやり方や、各標準報酬等級の上限内で翌年の月給額を決めるなどのやり方で社会保険料を下げる、あるいは、上がらないようにするなどした時に、社員のモチベーションにマイナスの影響がでないか、退職を誘発しないか、社員間の賃金水準のバランスが崩れないかなどのポイントを検証する必要があります。
 
社会保険料を低く抑えるための工夫が、社員の業績達成意欲をそいでしまったり(賞与を減らして月給に上乗せする場合など)、翌年の標準報酬が変わらないように昇給額を決めた結果、有能な社員がやる気をなくして、転職活動を始めたりする可能性がないとは言えません。
 
人件費管理上、社会保険料をコストとして管理することは必要なことですが、順序としては、やはり売り上げを上げるために必要な施策を考えて実行することが一番ですね。それを人事の領域でどのように実現するかということになれば、社長の考えを浸透させるために、人事評価指標となる定量・定性の両指標をしっかり考えるとか、会社の方針通りの方向性で行動を継続して、業績をあげた社員に賞与でしっかり報いるとか、そういうことをまず最初にやった上で、その延長線上で、コンセプト的に矛盾のない範囲で、コスト削減のためにどのような手を打てるか、と考えることが、あるべき順序ではないかと思います。
 
テクニカルなコスト削減を例示しているホームページが散見されたので、ちょっと気になり、今日はこんなことを書いてみました。しっかりと自社の人材マネジメント方針を持って、ぶれない経営を実践されることを願っています。


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