社員転籍プロセス支援

2013年12月25日

基本サービス内容(社員転籍プロセス支援)

価値を生み出す資産である「ヒト」の円滑な転籍を支援します

M&Aのストラクチャーによって必要となる雇用契約の移管

人材の円滑な転籍と定着で、PMIシナリオの前提条件を確保する

financial buildingsデューデリジェンスが終了し、その後の交渉が順調に進めば、M&Aの基本合意からクロージングへと進みます。多くの場合、買収する会社の社員は、買い手企業が引き継ぎますが、M&Aのスキームによっては、社員個人から転籍に関する個別同意書を取得することが必要になります。転籍とは、これまで雇用されていた会社との雇用契約を終了すると当時に、新しい会社との雇用契約を結ぶという行為を並行して行うことを意味します。

事業譲渡として会社を買収する場合、転籍予定の社員全員から、個別に転籍同意書を取得するための実務作業が発生しますが、極めて短期間で、またM&Aの状況によっては、相当の人数が転籍対象となるため、実務的なワークロードは瞬間的に極大期に突入します。

転籍後の人事処遇内容が、全く同じであったとしても、会社の看板が変わったり、経営陣が入れ替わるなど、必ずしも働く環境が全く同じであるとは限りません。さらに、転籍した後に、いつまで転籍時の処遇の前提が継続されるかも不透明感を払拭しきれません。


第一ステップは、円滑に転籍予定の人材に新会社へ転籍してもらうことですが、当然、それはゴールではなくスタートラインに立ったということに過ぎません。その後如何に長く会社に定着してもらえるよう工夫をするか、以前と同じようなモチベーションを維持して職務に励んでもらうか、対応の手を緩める時間はないと考えた方が無難でしょう。
 

社員転籍プロセスの進め方と留意点

当事務所では、クライアント企業の状況に応じて、社員の転籍プロセスの設計、新処遇内容の設計、コミュニケーションプランの立案、面談への同席等を支援しています。ここでは、事業譲渡時における社員転籍の標準的な進め方をご紹介します。

1. 全体スケジュールの設計

M&Aでの転籍は、とにかく時間との戦いです。通常であれば、親会社から処遇水準の低い子会社へ転籍する場合など、労働組合との交渉期間も含めて相当長期間をかけて、転籍プロセスを進めることもありますが、M&Aではその数倍のスピードが求められます。当事務所は、人事アドバイザーとしてデューデリジェンスの段階から支援しているケースが多いので、すでに入手・分析済みの情報も活用し、転籍実務のスケジューリングを、実際のリソース対応面も含めて立案します。


2. 買い手 VS. 売り手の人事処遇比較

M&Aの状況下での転籍は、多くの場合「全体として同等の人事処遇を、一定期間、維持する」という条件がつきます。社員の雇用を維持したいという売り手企業の配慮からですが、人事処遇を全く同じにできるかというと、実際にはできないことも少なからず存在します。そういった事項を一つ一つ洗い出し、対処策を立案・クライアントとの討議を経て、転籍オファーレターに記載する条件を決定していきます。


3. Transition Service Agreement (TSA)交渉の支援

新旧の人事処遇内容の格差が明らかになったところで、その格差を埋める手段がない場合、売り手企業に対して、一定期間、サービスを継続提供してもらえるよう交渉を行います。これをしないと、クロージング以降、転籍してくる社員が不利益を被りますし、あるいは、転籍の合意をしない社員が出てくる可能性もあります。健康保険組合や企業年金、共済会などがTSA交渉の対象となることが多くあります。


4. 転籍対象者への個別面談

申し入れる人事処遇内容を固めた後は、対象者との個別面談へ進みます。一定規模以上の事業会社が買い手の場合は、事業部門長や人事部門が個別面談を実施しますが、中小規模の会社や投資ファンドが買い手の場合、外部アドバイザーとして面談に同席して処遇内容の説明を支援する場合もあります。


※上記は、基本的な処遇条件を維持する方針の場合の進め方のイメージです。案件により、転籍後の処遇条件が下がることを前提に、転籍時に支給する転籍促進のための特別な処遇を設計支援することもあります。詳しくは、お問い合わせください。