2013年07月02日
2013.7.2
早いもので、2013年も折り返し地点を過ぎて、後半戦に入りました。先日幕を閉じたサッカーのコンフェデ杯では、前後半の開始直後や終了間際の得点シーンが多く見られましたが、ビジネスの世界でも、年初や年末、あるいは、四半期・上半期等の区切りで、営業のスタートダッシュをかけたり、追い込みのキャンペーンを実施したりしますね。節目というのは、その後の流れを作る上でも、文字通り、重要な時期だと思います。
横浜で社労士・人事コンサルティング事務所を開業して、1年3か月が経ちました。2013年上半期の終了と下半期の開始に当たり、これまでの足跡を振り返ってみますと、サービスの差別化を図る上で大事なことは、「標準化と個別化」を両立することだと改めて感じます。
業務を効率的かつ正確に回していく観点からは、同じ領域のサービスを数多くこなしていくことが大前提ですが、その経験の中から、最大公約数的な業務の共通部分を抽出して、マニュアル化することが一般的かと思います。当事務所でも、この観点からの標準化は、進めています。
ところが、ここで陥りがちなのが、マニュアル通りにすべてを完璧にこなせば、顧客満足が得られるという幻想です。もう20年以上も前ですが、事業会社に勤務しているとき、顧客対応のマニュアルがありましたが、同じ対応をしても、人によって顧客満足が異なるのは明らかでした。
高い顧客満足を得られる人は、マニュアル通りの受け答えにとどまらず、また、「売ってやろう」という商売心だけではなく、純粋に親切心を持って顧客の関心のある領域や何を求めているのかということを、会話の中で探りだしていくことに長けていたと思います。
それは、標準化されたマニュアルを超えて、顧客の懐に飛び込んでいけるパーソナリティと役に立ちたいという小さな使命感が伴った時に実現できるのだと思います。
人事制度を構築する際に、模範となる行動指標(コンピタンシーモデル:経営として社員に期待する、あるべき行動プロセス)を設計することがあります。経営者や高い業績を上げる優秀社員へのインタビューを通じて、クライアント企業のコンピタンシーモデルを構築して、人事評価シートに落とし込んでいくことが一般的ですが、ここでも重要となるのが、社員の「こころの在り様」だと思います。
コンピタンシーモデルに書かれた通りの行動プロセスを実践しても、そのような行動を行う優秀者の心の在り方まで理解していなければ、本当の意味で、優秀者と同じ再現性で成果を上げることは難しいでしょう。
心のレベルまでも含めて、優秀者と同じ状態になったとき、同じ状況の顧客に巡り合えば、似たような結果を得られる再現性は、高くなると思います。これを実践するためには、人事評価制度を作って終わりではなく、やはり経営者や幹部社員から継続的に自社の戦略(市場、数値等の左脳的な部分)のインプットを行うことに加えて、考え方(使命感、倫理観、将来のビジョン等)を説き、社員の心にエネルギーを注入し続けることが極めて重要です。
標準化された仕組み・モデルに加えて、心の伴った「個別化」ができれば、おのずとサービスの差別化につながるのだと思います。逆に言えば、心が伴わなければ、無味乾燥な標準化された仕組みだけが残ることになるので、差別化はおろか、いつまでも価格競争に巻き込まれ続けるのだろうと思います。
当事務所としましては、現在のところ、創業時の心を失っていないと自負してはいますが、将来に渡り、規模が大きくなっても初心を忘れないようにという意味合いも込めて、今日はブログに書き残してみた、という部分もあります。とりあえず、今年の年末には、また振り返ってみて、自己点検をしっかり行いたいと思います。