年度更新と一般拠出金

2013年07月13日

2013.7.13

 

関東でも梅雨が明けてから1週間ほどたちますが、うだる様な蒸し暑さですね。スーツを着て歩き回るときは、サウナに入っているような状態になり、滝のように汗が流れます。。クライアント企業の中には、M&Aの真っ最中で土日もお盆も休めなさそうな方々が少なくありませんが、体調管理には是非ご留意頂きたいと思います。


さて、今年も労働保険の年度更新の時期が過ぎましたが、担当者におかれましては一息ついている頃かと思います。労働保険とは、社員が業務上災害で病気やけがをした際の補償を行う労働者災害補償保険(労災保険)と失業時の給付等を行う雇用保険からなります。


労働保険の保険料の申告用紙をみると、労災保険料と雇用保険料の納付すべき金額を記入する欄がありますが、その下に一般拠出金という欄があります。今日は、この一般拠出金に関する話題です。ただし、人事労務の実務とは、少し違う角度から書きたいと思います。


一般拠出金とは、石綿による健康被害の救済に関する措置として、労災保険の適用事業主から徴収されるもので、平成19年度から適用されるようになりました。石綿、つまり、アスベストですが、日本では主に建築用の資材として1960年以降、急速に普及しました。耐熱性に優れていたこともあり、耐火建材として法律で使用が義務付けられたという過去の経緯があります。


ところが、ご存じのとおり、夢の建材と言われたアスベストは、吸引すると塵肺や中皮腫を発症することが分かり、アメリカでは1986年に全面禁止され、日本では2008年にようやく全面禁止となったということです。


アスベストは、顕微鏡で見るとガラス状の繊維で、これが肺の細胞に突き刺さって癌化、約30年後に発症するそうです。米国では、建築の解体現場では、完全防護服を着用することが義務付けられているそうですが、日本では、依然として手拭いで口をふさいだりする程度らしいので、作業する人たちの健康被害が心配されます。
 

特に建設関係の事業主の皆さんにおいては、社会保険に加入することもさることながら、建築解体時のアスベストの飛散防止対策など、大切な社員の健康を守る上での対策もしっかりととって頂きたいと思います。法律には定められているものの、実際には対策がなされていない場合が少なくないようです。


最近、建築の解体現場でアスベストの空気中への飛散を防ぐ新技術が登場したということで、東京都の公営住宅においても正式に採用されたとのことです。AQUA工法という技術で、アスベストの微細な繊維を「太らせて」、肺に吸い込まれないようにするという逆転の発想から生まれた技術ということです。こういう技術が、早く世の中に認知されて、広まっていってほしいものです。


このブログが、わずかながらでもその一助になればと思い、今日は、人事労務とは直接関係のないことを書きました。今後も気になることが出てきましたら、人事労務以外の話題も織り交ぜながら、書いていきたいと思いますので、宜しくお付き合い下さい。