産前産後休業中の社保手続き

2013年09月27日

2013.9.27


今回は、「産前産後休業期間中の社会保険料の免除」についてです。平成26年4月1日(来年の4月)から、本人の申し出により、産前産後休業期間中の社会保険料が、事業主負担および本人負担分ともに免除されることになりました。女性が一人でもいる会社の人事・総務担当としては、押さえておきたいポイントです。 
 
まず、基礎的な部分から順番に説明していきます。
 
「産前産後休業」とは、女性社員が出産予定日の前6週間、出産後8週間について休業を取得できる労働基準法に定められた休業です。原則この期間内は、社員を仕事に就かせることはできません。したがって一部の企業を除き、この休業期間中は、給与を支払わないというのが一般的な労務管理方法です。
 
ところが従来は、この期間中も社会保険料については、徴収されてしまうという状況にありました。休業中で給与が支払われないにも関わらず、会社、本人ともに、保険料を支払い続ける必要があったのです。本人分に関しては、給与が支払われないので、給与からの保険料控除ができず、職場復帰後や復職後に一括して清算する必要があるなど、実務上の負担が少なくなかったといえます。 
 
実際には、産前産後休業後に、継続して育児休業に入るケースが少なくないですから、復職の時期は、1年先ということも多かったと思います。このような状況でしたが、ようやく来年4月からは、申し出により、社会保険料が免除されるようになりますので、女性社員への社内周知の準備を進めるのが、来春へ向けての人事・労務担当の仕事の一つになりますね。 
 
協会健保加入の場合、社会保険料は健康保険と厚生年金保険の合計で標準報酬の26~28%程度(労使合計)もありますから、休業中で無給の社員にとっては大きな負担ですし、会社にとっても、必ずしも小さなコストではないと思います。大雑把にいえば、月給50万円の人で毎月14万円の保険料になります。それを労使で折半負担することになります。
 
本人が希望する場合に備えて、会社としてしっかり手続きを取れるようにしておきましょう。具体的な手続きの詳細は、今後、厚生労働省令等で定められることになっています。詳細が確定しましたら、また共有させて頂きます。
 
 
社会保険料に関しては、平成28年から非正規社員で一定の要件を満たした人たちも適用対象になることが決まっていますので、社会保険料の適切な管理の必要性は高まってくるかと思います。前回のブログでは、いたずらに社会保険料の削減を進めることに対する警鐘を鳴らしましたが、こうした法改正に対しては、人件費と人材マネジメントのバランスについて売上への影響も勘案して総合的な対応を検討する必要があると思います。このあたりの話は、また今度触れてみたいと思います。