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時間単位の年次有給休暇

2014.1.6
 

今日が仕事始めの会社は多いと思いますが、例年より長めの年末年始休暇を過ごされてた後で、仕事のリズムを取り戻すまで、もうしばらく時間がかかる人も少なくないのではないかと思います。今日は、午後にクライアントを訪問して、新たに導入する制度の説明をしてきましたが、頭は回転しているものの、正月太りでウエストがきつく、声を出しづらいのには少し参りました。。。

休暇と言えば、どの会社でも必ずあるのが年次有給休暇(有休)です。労働基準法に定められた休暇ですので、出勤率の要件はありますが、一定の勤続年数に達した社員に対して、会社としては必ず付与する必要があります。

この有休ですが、厚生労働省が毎年実施している就労条件総合調査の結果によると、直近5年間の取得率は、47%~49%程度で推移しています。当局が有給休暇の取得促進を謳っても、中々数字として現れないというのが現状ですね。

企業規模別の取得率をみると、30~99人規模の会社が最も低い約40%で、1,000人以上の規模の会社では、約55%の取得率となっています。(平成25年同調査結果)具体的には、以下の状況です。

従業員規模 1,000人以上  54.6%
300~999人    44.6%
100~299人    42.3%
30~99人        40.1%

従業員規模の小さい中小企業ほど取得率が低いことが分かります。小規模の組織になるほど、休暇中の仕事を代行してくれる社員が確保しにくいという事情が影響していることが想定されます。


この状況を改善するという趣旨も含めて、平成22年4月1日から、時間単位の有給休暇の取得が、労働基準法で認められるようになりました。労使協定で所定の事項を取り決めるとこで、年間5日間相当の時間について、時間単位での有給休暇の取得が可能となっています。

この春で丸4年経過しますが、実際に多くの会社の就業規則を見ていても、時間単位有給休暇を採用している会社は、まだ少数派のようです。就労条件総合調査によると、この制度の導入率は以下の通りです。

平成25年 11.2%
平成24年     8.8%

(平成25年 企業規模別)
1,000人以上  7.8%
300~999人    9.8%
100~299人  11.0%
30~99人       11.4%

ご覧のとおり、時系列でみれば、今後導入が広がる可能性はありますが、絶対的な導入水準はかなり低い状況です。企業規模別では、小規模企業の方が導入率が若干高い状況がです。おそらく、まとまった日数の休暇は取りづらいが、時間単位であれば、多少は取得できるという状況があるのではないかと思われます。

有給休暇の付与を義務付けているそもそもの理由は、疲労回復とゆとりある生活の実現ということになっていますが、現在の多くの会社の状況を考えると、業務の合間を縫って有休を取得しても、その前後の期間がとても繁忙になることや、有給休暇中に自主出勤(?)したり、顧客訪問をせざるを得ないような場合も少なからずあるというのが正社員の働き盛りの人たちの実態という部分もあり、有給休暇の付与が当初の目的の達成に寄与しているかどうかは、多少疑問も残るところではあります。

とはいえ、有給休暇を上手に活用できているケースも多くありますので、この仕組み自体は必要であると思う一方、別の観点から、疲労回復とゆとりある生活の実現を支援する施策を工夫することが、むしろ現実的ではないかと感じます。

余裕人員を抱えておける企業は多くはない状況です。休暇取得率は劇的に改善できなくとも、最新の情報機器を活用して、モバイルワークをどんどん推進するなど、ワークライフバランスのレベルを上げる施策はあると思います。

因みに、当事務所の場合、会社勤務の頃と比べて、通勤時間が往復約3時間/一日あたり短縮できたので、一日が27時間になった感覚で、仕事面では大変助かっています。しかし、全て仕事の時間に充当してしまう傾向があるので、今年は、少しはプライベートも充実させたいと思います。


 



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