ホーム > シンプル人事評価制度

シンプル人事評価制度

2014.5.31

 

先のブログで人事評価の点数化に触れたところ、専門誌でちょうど人事評価制度に関するアンケート調査結果が出ていましたので、その内容もご紹介しながら、人事評価制度の設計思想の潮流を見てみたいと思います。
 
「評価基準は複雑でも緻密なものがよいか、多少は粗くてもシンプルなものがよいか?」という問いに対して、93%の回答者が、「多少は粗くてもシンプルな方がよい」という回答を選択しています。この結果をみると、あまり緻密さを求めるのではなく、いい意味で大雑把にとらえて評価をすることを是とする意見が大勢を占めています。
 
アンケート対象者は、主に大企業の人事評価経験者だと思われますが、恐らく、緻密な評価制度に基づいて真面目に評価に取り組んできた結果として、先のコラムで触れたような徒労感や他の業務の支障を生じるなどの経験から、シンプルな方が良いという反動が生じているのではないかと思われます。
 
一方の少数派である緻密派の意見としては、以下のコメントが紹介されています。
 
-評価と処遇の連動性の確保の観点から、複雑であっても正確性を高める必要性がある
-人材育成の観点から、本人の強み・弱みを把握し、成長課題を明確にするために大雑把な基準では用をなさない
 
「緻密」と「シンプル」という言葉から想像する具体的な評価制度の内容は、人によって異なる部分もあると考えられますので、一概にシンプルさが重要と断定することはできませんが、少なくとも、大企業を中心とした人事評価に関する先進企業(?)においても、人事評価を極めて効果的に運用している会社は多くはないということが想像できます。
 
「最新の人事制度を入れたい。」という要望を受けることが結構あるのですが、やはり段階を踏んで考えましょう、ということが多いのです。もちろん、要望のままに最先端(?)の人事評価制度を構築することはできますが、評価のサイクルが一回りする半年後や一年後に使えなくなる可能性が高いことも有る程度想像できますので、どうしても慎重な対応姿勢になります。
 
このような背景もあり、当事務所で支援している顧問先、あるいは、人事制度構築をスポットでご支援する会社に対しては、人事部の管理機能のレベル(人員数・経験など)や現場の管理職の評価スキルや評価運用に関する負担の増加を考慮して、継続的に運用していけると考えられる「緻密さ」あるいは「シンプルさ」に設定することを考えています。
 
人事評価は、現場の管理職の方が前向きに取り組む姿勢をなくしてしまうと、途端に形骸化してしまいますので、小さく生んで大きく育てるアプローチが良いと思いますが、みなさんの会社では現状いかがでしょうか?
 
現場目線がすべてに優先するものではありませんが、マネジメントの視点と突き合わせた上で評価運用が形骸化しないように、定期的に実態を確認されることをお進めいたします。人事評価は、仕組みの構築も大事ですが、現場が真剣に運用に取り組める状況を継続的に作り出し、維持することが、より重要です。
 
評価者訓練を実施して、あとは現場任せということでは、せっかく構築した評価制度が形骸化するのも早まってしまいますので、当事務所では、評価者会議の運営支援を通じた評価者の目線あわせ、幹部社員による制度への理解の深耕を積極的に支援しています。よろしければ、ご活用ください。
 


クライアント企業の声

過去の記事