ホーム > 平成26年度雇用関連助成金

平成26年度雇用関連助成金

2014.4.20

 

雇用関連の助成金には様々なものがありますが、平成26年3月から新たに拡充・新設された助成金の中から、活用頻度が高そうなものを抜粋してご紹介します。自社が受給要件に該当するか否かについては、直接ハローワークに問い合わせをして具体的な状況を説明し、感触を確かめる必要がありますが、今回ご紹介する基本的な要件に当てはまりそうな場合は、助成金の申請を検討されてみてはいかがでしょうか?
 
経営者としては、普段は雇用保険料を支払うばかりですが、同じ雇用保険の助成金事業から還元を受けることも可能ですので参考にして頂ければと思います。今回は、キャリアアップ助成金を紹介します。
 
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、全部で6種類あります。今回は、その中でも活用頻度が高いと考えられる2つを紹介します。
 
Ⅰ 正規雇用等転換コース
有期契約労働者等(契約社員、パート社員など)を正規雇用等(正社員、期間の定めのない社員など)に転換した場合に受給できる助成金です。助成金の支給額は以下の通りです。※支給額は中小企業の場合
 

 

適用内容

 

1人当たり支給額

有期雇用から正規雇用への転換

 

50万円

有期雇用から無期雇用への転換

 

20万円

無期雇用から正規雇用への転換

 

30万円

 
また、派遣社員を正規社員(正社員)として会社が直接雇用する場合は、上記の助成額に10万円が加算して支給されます。主な受給要件は以下の通りです。
 
a. 主な対象労働者
 
(1) 有期契約労働者
有期契約労働者として事業主に雇用されていた通算雇用期間が6か月以上である労働者
 
(2) 無期雇用労働者
無期雇用労働者として事業主に雇用されていた通算雇用期間が6か月以上である労働者
 
(3) 派遣労働者
派遣期間が6か月以上の派遣場所で就業している派遣労働者
 
b. キャリアアップ管理者の配置とキャリアアップ計画の策定
 
ガイドラインに沿って、事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、「キャリアアップ計画」を作成して、それについて管轄の労働局長の認定を受けること
 
c. 正規雇用等への転換等の実施
 
キャリアアップ計画に基づき以下の全ての措置を講ずること
 
(1) 対象労働者の種類ごとに次の[1]~[3]のいずれかの措置を、制度として労働協約または就業規則に定めること
     [1]有期契約労働者を正規雇用または無期雇用に転換すること
   [2]無期雇用労働者を正規雇用に転換すること
   [3]派遣労働者を正規雇用または無期雇用として直接雇用すること
 
(2) [1]~[3]の制度適用後、6か月を経過したこと
(3) 適用者に対して6か月分の賃金を支払ったこと
(4) 支給申請日において、[1]~[3]の制度を継続していること
(5) (1)の制度のうち、無期雇用に転換または直接雇用した場合は、適用者の基本給が、制度の適用となる前と比べて5%以上昇給していること
 
いかがでしょうか? このほかにも基本的な要件(一定期間、会社都合の解雇をしていない、雇用保険料の未納がないなど)がありますが、特に契約社員や派遣社員を正社員に転換することがある会社にとっては、活用できる可能性がある助成金です。
 
留意点を挙げるとすると、「適用対象者の基本給を5%以上昇給させること」という要件です。単発的に契約社員等を正社員登用する場合は、それほど問題にならないかもしれませんが、定期的に複数の契約社員等を正社員転換する会社の場合、ほかの正社員の給与水準とのバランスが崩れないように配慮する必要があります。
 
助成金を活用して正社員転換した結果、5%以上基本給が上がることになりますので、先輩正社員の基本給を超えてしまうということが起こらないように、正社員の報酬制度全体としての検討も必要です。
 
Ⅱ 短時間正社員コース
 
主にワークライフバランスの観点から、正規労働者から短時間正社員に転嫁する場合や、短時間労働者(パート)を短時間正社員に転換する場合に受給できる助成金です。
 
助成金の支給額は、一人当たり30万円
主な受給要件は、以下の通りです。
 
a. 主な対象労働者
 
(1) 正規雇用労働者(通算して6か月以上の期間雇用されている労働者)
(2) 有期契約労働者(通算して6か月以上の期間雇用されている労働者)
(3) 新たに短時間正社員として雇い入れられる労働者
派遣期間が6か月以上の派遣場所で就業している派遣労働者
 
b. キャリアアップ管理者の配置とキャリアアップ計画の策定
ガイドラインに沿って、事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、「キャリアアップ計画」を作成して、それについて管轄の労働局長の認定を受けること
 
c. 短時間正社員への転換または雇い入れの実施
キャリアップ計画に基づき、対象労働者に対する「短時間正社員」への転換または雇い入れを次の(1)~(3)のすべてを満たして実施すること 
 
(1) 対象労働者を短時間正社員に転換する制度、または短時間正社員として新たに雇い入れる制度を、労働協約または就業規則に規定し、当該制度の規定に基づき雇用する労働者を短時間正社員に転換または新たに短時間正社員として労働者を雇入れたこと 
 
(2) 短時間正社員への転換または短時間正社員として新たな雇い入れを実施した後、6か月以上継続して雇用し、当該労働者に対して転換または雇入れ後の処遇適用後6か月分の賃金を支給したこと 
 
(3) 支給申請日において(1)の制度が継続していること
 
短時間正社員コースは、たとえば、育児中の正社員が、少し労働時間を少なくして育児のための時間を確保する場合の活用が考えられます。あるいは、着実に増えていきている家族の介護の時間を確保するために、短時間正社員へ転換する仕組みを制度化する会社もあります。
 
短時間正社員とは、①正社員と比べて労働契約上の労働時間が短い社員で、かつ、②時間当たりの賃金額、賞与、退職金等の人事処遇が同じ扱いの社員のことを指します。また、短時間社員は、その所定労働時間の長さにかかわらず、社会保険(厚生年金保険・健康保険)は加入対象となりますが、雇用保険は、週所定労働時間が20時間未満の場合は、加入対象となりません。
 
この場合、雇用保険の給付である育児休業や介護休業中の給付金や失業時の手当などは支給されませんので、短時間正社員の労働時間を設定する際には留意が必要です。


クライアント企業の声

過去の記事