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定年退職後の有期雇用

2014.3.7
 

労働契約法の無期雇用転換権との関係で、定年退職後の有期雇用者が5年を超えて働いた場合、死ぬまで会社で働く権利を得られる仕組みということを、以前このブログでも書きました。しかし、それに歯止めをかける法案が閣議決定されました。今朝の日経新聞に掲載されています。
 
昨年改正施行された労働契約法では、5年を超えて同じ職場で働いた有期雇用社員は、本人が希望すれば、期間の定めのない社員へ転換する権利を有します。この権利を行使すれば、正社員と同じように、定年年齢まで働き続けることが可能になります。元々は、労働者保護の観点から策定されたものです。
 
ところが、定年後に再雇用された場合は、事情が異なってきます。例えば定年が60歳の会社で定年退職し、再雇用されたとすると、65歳を超えて雇用されている時点で、改正労働契約法が定める「無期契約転換権」を行使できるようになり、67歳などに第二定年を定めておかない限り、死ぬまで会社に雇用され続けるという、ちょっと不合理に思えることが有り得る状況でした。
 
さすがに、この状況は改善するべきであるという声が、改正労働契約法の施行段階から上がっていましたので、しかるべき対応がようやくとられたということで、労使双方にとって、良いことだと思います。こういった適切な法改正が、高齢者の安定雇用に繋がることを期待します。
 
今回の対応がなければ、有能で社会から求められる熟練高齢社員が、無期雇用転換権の行使を避けたい会社の意向を受けて、会社を去らなければならなくなるという不自然な状況が生じかねなかったからです。
 
ところで、数年前から人口減少社会に突入した日本ですが、15歳から64歳の生産年齢人口が急減していくことは、様々なシミュレーションが示している通り、周知の事実です。2010年時点で8147万人だった生産年齢人口が、2040年には5787万人へと約30%減少するという試算もあります。(PRESIDENT 2013年10月14日号)

seisannenreijinko
 
65歳以上の人は老年人口と呼ばれますが、少子化が短期的に劇的に改善することは考えにくい現在の見通しの中では、この老年人口の人たちが、生産活動に携わっていける社会を実現することが極めて重要です。
 
現時点ですでに65歳を超えている人たちにも頑張ってもらいたいとは思いますが、50歳台以下の人たちは、自分も含めてまだ時間がありますので、健康管理をしっかりして、職業上の腕を磨き、生涯社会に貢献していく前提で日々研鑽を怠らず時を過ごしていく必要があると思います。


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